トーチ通信#6:カンヌライオンズ2022の注目事例Part2
前回に引き続き、カンヌライオンズ2022の複数部門を受賞した事例について紹介します!今回のキーワードは「パーパス」と「サステナビリティ」です。
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今回は、前回に引き続き、カンヌライオンズ2022について、29部門のうち複数部門でグランプリを受賞した4つの事例を紹介する後編です!
🎖複数部門受賞した事例
③DECATHLON「The Breakaway:THE FIRST ECYCLING TEAM FOR PRISONERS(以下、The Breakaway)」
●受賞部門
PR Lions, Creative Strategy Lionsの2部門
●概要
「The Breakaway」は、ベルギーの刑務所に服役中の囚人6名がeスポーツチームを結成し、バーチャルレースを行ったプロジェクトです。
このプロジェクトには、他者とのつながりが希薄になる服役中でも、バーチャルスポーツを通して、外とのつながりやスポーツの楽しみを感じられる機会を生み出し、社会復帰の一助とする狙いがありました。
レースはZwiftというeサイクリングのプラットフォームを使って行われ、このチームの結成から8ヶ月後には、裁判官、看守、警察官、法務大臣などの職員で構成された「Team Justice」との試合を設け、Facebookでライブ配信を行いました。
このプロジェクトは、DECATHLONにとって140万ドルのアーンドメディアとなり、この刑務所以外にも、ベルギーの刑務所3か所とイギリスの刑務所1か所で囚人にeサイクリングをさせる仕組みを導入しました。さらに、ベルギーの法務大臣が全てのベルギーの刑務所において今後数年間でeサイクリングを装備することを発表し、大きな反響を呼んでいます。
●新たな技術を有効に取り入れ、アーンドメディアを活用
PR Lionsで審査員を務めた国田さんによると、本来は外の世界とのつながりを持つことができない人物である囚人が、バーチャル上の世界を活用することで一般の人々との交流を生み出すことができた点において、新たな技術を取り入れる必然性があったと話しています。
また、PR Lionsの評価基準の一つとして「アーンドメディア(※報道の形で露出するメディア)の活用が話題化の中心にある」ことが挙げられ、囚人がeスポーツに挑む、囚人と司法関係者がレースをするなど、「対立」や「人物」を立たせることでアーンドメディアを活性化し、プロジェクトの話題化につなげています。
●スポーツブランド企業が主導したパーパス経営の好例
国田さんによると、講評セッションでは、政府機関や非営利団体ではなく、スポーツブランド企業(DECATHLON)が主導したことも評価していたと話しています。「We make sports accessible for the many(より多くの方々にもっとスポーツを)」というパーパスを掲げているDECATHLONが、自社ビジネスに関連した分野で社会に貢献するという点で、近年話題になっている「存在意義」を中心とした経営手法、パーパス経営の好例といえます。
④WeCapital「Data Tienda」
●受賞部門
Creative Data Lions, Glass Lionsの2部門
●概要
「Data Tienda」は銀行が利用できる金融情報センターであり、何百万人ものメキシコの女性のクレジット履歴を近隣店舗の会計記録から回復させるものです。
メキシコでは、融資を受けられないために教育を受けたり起業することができない低所得の女性が何百万人もいます。そのうち83%の女性は、支払行動を確認できるような銀行との支払履歴がないため、ローン申請が却下されてしまうという課題がありました。しかし、金融機関に登録されていないだけで、彼女たちはずっと近隣の店から融資を受けてきており、何千もの店の会計記録には長いクレジットの履歴が存在していました。
WeCapital は、Whatsapp botを介して店からデータを収集し、女性のクレジットスコアを作成するシステムを整備しました。
このシステムを整備して3ヶ月以内に、10,300件以上の女性の信用記録が生成され、このうち23%の女性がビジネスや学習計画のためのマイクロローンを受けることができました。
●古いものを新しい問題への解決策にする「もしも」の発想
Creative Data Lionsの審査委員長のアラン・ケリー氏は、融資記録のような古いものを、非常にリアルで新しい問題に対する解決策にできないか、というシンプルな「もしも」の発想を評価しています。銀行に代わるものを生み出したり、大規模なデータ収集チームを結成したりしなくても、元々あるデータやプラットフォームを活用して新たな問題解決に取り組んだことが今回の受賞につながっています。
●継続性と拡張性
大規模なデータ収集チームに頼ることなく、Whatsapp botを介して店からデータを収集し、結果的に10,000件以上の信用記録を生み出したという点から、活動の継続性と拡張性が高く評価されました。
✍️今回のまとめ
今回は、前回に引き続き、カンヌライオンズで複数部門受賞した二つの事例を紹介しました。
カンヌライオンズの会長であるフィリップトーマス氏は、今大会について、以下のように話しています。
「”企業のパーパス(存在意義)”や”持続可能性(サステナビリティ)”が今大会の大きなテーマとなる」とし、「ブランドは自らのパーパスを伝えるためのコミュニケーションを行うこと、またビジネスをサステナブルにしていくことが重要になる」と答えました。
フィリップトーマス氏の話にあるように、このニュースレターで紹介した事例は、自社のパーパスに沿った社会課題の解決に取り組み、消費者とのコミュニケーションを深めるような実効性が高いプロジェクトを行っています。
普段目にしている広告も、「この商品の会社のパーパスは何なのか?」を気にして見てみると、その会社のブランド戦略を垣間見ることができるかもしれません。私は今回のリサーチを通して、気になった広告を出している会社のパーパス巡りをしてみようと思いました!👩💻
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